「麺が旨いと思う」事を 何処を指して旨いと言われるているのか、「造る」職人として悩んだ事があります。
「美味しい」が、理解が出来無くて、悩んだ期間が10年程ありました。
ある時、日本のお茶業界で第一人者の谷本陽臓さんに「勝山さんよ、食べ物で旨いと言う事解るか?」聞かれました。
私は答える事ができず、谷本さんに「それを教えて下さい」と言うと、谷本さんは「甘い事や」と教えてくださいました。
「食べ物の原料、素材の甘味を引き出すのが技術や。」とも教えて下さいました。
私はその時「なるほどそうか、山下勝山は麺職人として小麦粉の甘味を引き出すことだ」とわかりました。やっと悩んでいた物のヒントが生まれました。今までは素?はコシと弾力性、造りやすさを考えてグルテンの強い小麦粉で造っていました。そうめんはコシがあって出来るだけ細くして見た目が美しいのが職人の腕と思って参りました。しかし、仕上がりの細さにこだわりる必要はなく、旨い麺に徹する事やと考えを改めました。今まで業界の先輩方や先祖から教えて頂いた原料や造り方を根本から変える発想転換を行いました。
そうめんを造る職人が今まで使った事がないグルテンの低い和菓子に使われる小麦粉を使い、低温熟成させます。麺帯を何枚も合わせる事で、コシがあり、かつモチモチ感の麺が出来ました。
そして視覚から見た美味しさのために葛粉を使用して光沢のある麺を完成させました。
甘味、香り、視覚の美しさ、モチモチ感がある麺が一筋縄麺です。